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「なんですか、それ」
「デジタルで転送紋を刻む装置だ」
「へえ……」
一郎は目星をつけた紋を壁に映し出してみた。けれどそこを通過してもまた同じ洞窟に戻ってきてしまった。
「やはりこの中には外界に通じる紋はないのかもしれないな……」
「ちょっと見せて下さい」
四郎は、青龍の弟から龍の世界の標準語を学習する装置を貸して貰って勉強していた。非常に優れた装置で、それを使って勉強したら、すぐに翻訳機なしで会話が出来るようになった。囚われの身なので転送装置は使わせて貰えなかったが、読み書きも習得した四郎は少し弄っただけで使い方を理解し、画面に文字を入力出来た。
「四郎、龍人語を覚えたのか?」
「はい。暇やったんで」
最初に入力した「戦士の城」はエラーになってしまったが、「世界の狭間の青い洞窟」と入れたら転送紋に変換された。
「これでどうですやろ」
「行ってみよう」
2人はすぐ壁に投影した転送紋に向かったが、突然強い風が吹いてきて反対側に飛ばされた。風を起こしたのは龍、しかも武器があっても苦戦しそうな巨大な青い龍だった。
「早くそこに紋を!」
「はい」
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