第2章 茶髪のイケメンと優しい巨漢

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「まあええわ、話したる。おまえんちは鍛冶屋や。一郎さんは殿様、次郎さんは家臣で弓の名手やったらしい。選ばれた戦士と、彼等がその時手にしていた武器に力を与えられたんやて。あともう一人、殿様のお抱え医師にも特別な力が与えられてな、それが五郎や。一郎から五郎まで全部で5人や」 父から聞いた話の中の勇者も5人だった。 4つの武器と5人の勇者の血が現実に引き継がれてきていることを、父は知っていたのに隠していたようだ。しかし父を責めたくない三郎は、その不満を別のことにすり替えた。 「最初のヤツが殿様とその家来だったからずっとリーダーとサブリーダーってこと?」 「なんや、不服か? ええやん。リーダーなんて疲れるだけや。おまえみたいなのもおるし、一郎さんも大変やなあ」 でも人に命令されるのは嫌いだ。 ため息をついて項垂れた三郎は、足元が少し明るくなったことに気付いた。 「あ、見えて来た!」 まだかなり先だが、光の円が見える。ようやく闇が終わるとホッとした2人は足を速めた。 しかし近付いてみるとその光は強烈で、今度は逆に明る過ぎて先が見えない。 「眩しい……」 「うわ、こりゃあかんわ……」 2人はとうとう目を閉じて足の感覚だけを頼りに進み始めた。 すると、四郎の足元から階段が消えた。 「おい、ちょっと待て」 「何?」 「だから待てって、うわー!」 「ええ? うわー!」
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