第14章 逆鱗に触れる

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そう言いながら見上げた四郎と目が合うと、五郎は頬を染めて視線を逸らした。不審に思いつつ三郎の方を見ると、口を開いて四郎を見詰めていた三郎も目を逸らしたので、四郎は仕方なく怒ったままの次郎に問い掛けた。 「次郎ちゃん、俺なんか変やろか?」 「自分で鏡を見ればいいでしょう。早く着替えて会議室に来て下さい」 益々怒った次郎は早足で行ってしまい、三郎も次郎について行った。その上五郎も2人の後を追おうとしたので、四郎は慌てて彼の袖を掴んだ。 「五郎ちゃん」 振り返った五郎は、一瞬で四郎から目を逸らしたが、深呼吸して答えた。 「わかった。一緒に行こう」 五郎は一緒に四郎の部屋の前まで来てくれたが、中に入ろうとはしなかった。 「ここで待ってる」 「なんで? 入ればええのに」 「いいから早く着替えろ。これ以上次郎を怒らせるな」 独り寂しく部屋に入った四郎は、言われた通り急いで服を着替えた。そして部屋を出る前に、思い出して鏡を見て悲鳴を上げた。 「どうした?」 五郎が心配して部屋に駆け込むと、四郎は鏡の前に座り込んで自分の顔を擦っていた。 「五郎ちゃん、この鏡間違うてない?」 五郎は自分の顔を鏡に映して鏡が正しいことを証明しながら尋ねた。
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