第14章 逆鱗に触れる

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「それは……」 四郎が口ごもると、次郎は身を乗り出して四郎の顔を覗き込んだ。 「あなたの瞳、こんな色でした?」 「いや……」 四郎は思わず目を逸らしたが、次郎に顎を掴まれた。 「微かに青い。その青い龍人にも犯されたのですか?」 問われた四郎は顎を掴んでいる次郎の手を優しく外しながら答えた。 「いいえ。彼はとても優しくしてくれました。一郎さんが来なかったら、俺はあの人の妻になってたやろうて思います」 何も答えず少しだけ目を見開いた次郎に、四郎は続けた。 「龍人は、俺達を殺す気はないんや。だから一郎さんも――」 「一郎様も捕まって龍人の妻にされるというのですか? そんなこと許せません!」 「あ、いや、そうと決まったわけや――ごめんな、俺――じ、次郎ちゃん!?」 まずいことを言ってしまったと慌てる四郎を、次郎は床に押し倒した。 「一郎様はプライドの高いお方です。あなたとは違う。あなたはさぞ容易に龍人を受け入れたのでしょうね。龍人はどうでした? 三郎や五郎より良かったですか? 一郎様と比べてどうでした? 私とも比べてみますか?」 「ちょっ堪忍してや」 次郎としたくないわけではないが、こんな形はご免だ。次郎に組み敷かれた四郎は必死にもがいた。すると懐から転送装置が転がり落ちた。それに気付くと、次郎は四郎を放して装置を拾い上げた。
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