第14章 逆鱗に触れる

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青い指が伸びてきて一瞬頬に触れた気がした。我に返った次郎は弓を手に取ったが、それを見た相手はクスッと笑って首を振った。 「これは本体じゃないから攻撃しても効かないと思うよ。逆にこちらから危害を加えることも出来ないから安心して」 青二は優しく包み込むように微笑んでみせた。極めて魅力的な表情だったが、次郎は弓を握りしめたまま尋ねた。 「青い国を支配する青龍の弟というのは、あなたですか?」 「そうだよ。ねえ牡丹は何処?」 次郎は四郎の肌に咲く花を見たことはないが、牡丹というのが四郎のことだということは聞かなくてもわかった。 「迎えに来たのですか?」 「何も言わずに出て行っちゃったからね。とりあえず話を聞かせて貰おうと思って。呼んできてくれないかな?」 青二は穏やかな表情で優しく話したが、絶対の自信を持って見下しているようだった。しかし次郎は負けずに切り返した。 「話し合う気がないから黙って帰って来たのでしょう。ところで、そちらにもう一人我々の仲間がいるはずですが、どうしているかご存じですか?」 すると青二はすぐに答えてくれた。 「ああ、兄さんが龍王様の所へ連れて行ったよ」 一郎は生きている。でもまだ安心出来ない。次郎は重ねて尋ねた。 「連れて行って、どうするのですか?」
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