第14章 逆鱗に触れる

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四郎は首を傾げながら隣の一郎の部屋を開けてみたが、そこにも次郎はいなかった。再び次郎の部屋に戻って何か書き置きがないか探してみたが、それもない。そして四郎は、いつもはきちんと立てかけてある弓が床に投げ出されていることに気付いた。 「まさか――」 四郎は次郎の部屋の隅々まで調べて、あの転送装置を探したが見つからなかった。 「大変や……」 四郎は部屋を飛び出して、訓練場に駆け込んだ。 「おい、大変や!」 「どうした四郎」 戦いに集中していた三郎も気付いて場外に出た。 「次郎ちゃんが消えた」 「は?」 「どういうことだ、ずっと一緒じゃなかったのか?」 「話が済んで訓練場行け言われて、独りで自分の部屋に戻った。最初全然斧が持てなくて、頑張り続けてようやく持てたら戦士の証が濃くなったんや。せやからそれを見せに戻ったら、おらんのや」 「洞窟にでも行ったのかな?」 「それやったら俺の部屋の前通るから気付く筈や」 「じゃあ何処行ったんだよ」 「次郎ちゃん、転送装置俺から取り上げてん」
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