第14章 逆鱗に触れる

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「まさかそれで龍人界に?」 三郎は自分の目で確かめようと、次郎の名を叫びながら彼の部屋に向かった。 「次郎!」 四郎の勘違いであって欲しいと願いながら、三郎は次郎の部屋の戸を開けたが、やはり次郎は部屋にいなかった。三郎は後から来た四郎に詰め寄った。 「どうして次郎に転送装置渡したんだよ!」 「逆らえなかったし、まさか独りで勝手に行ってしまうやなんて――」 すると五郎が床に投げ出された次郎の弓を手に取って言った。 「いや、次郎の意志ではないかもしれない。誤操作か、何か予期せぬことが起こって、とっさに武器を掴んで転送を避けようとしたけれど間に合わなかったという可能性もある」 冷静に話す五郎に、三郎は益々苛立った。 「そんなのどっちでもいいよ! 次郎を探しに行こう、俺達もあっちの世界に乗り込もうよ」 「そんな簡単にいくか。転送装置もないのにどうやって行く気や」 「転送紋覚えてないのかよ」 「あんな複雑な紋、覚えられるか。それに描けたとしても武器持って入れんのやで? 丸腰で行ったらどうなるか、もう一度説明して欲しいか?」 「そうか、じゃあ歩けばいいじゃん」 反論される覚悟で三郎はそう言ったが、四郎は頷いた。 「そうやな。それしかない。つまり今まで通りってことや」 五郎は四郎と目を合わせて頷いたが、三郎にはさっぱり意味がわからなかった。 「なんだよそれ。どういうこと?」
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