第14章 逆鱗に触れる

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「せやから、元々俺等はあっちの世界の入り口まで行って封印してくるのが目標やった。その代わりに入り口を突破して中に入るだけやから、途中でやることは一緒や」 「えー、龍を倒して封印しながら行くってこと? もう直接行っちゃえばいいじゃん」 「アホ。そんないい加減なこと出来るか。俺等が向こうに行ってる間に龍が人間界襲ったらどないする。向こうに行って帰れる保証はないんやから綺麗に片付けて行かんとダメや」 「なんだよ偉そうに。一郎も次郎もいないからってリーダー気取りかよ!」 三郎はそう叫ぶと部屋から出て行った。 「おい三郎、何処行く気や!」 「止めても無駄だ。追いかけよう」 2人は城を出て走って行く三郎を追いかけた。本気で龍の世界の入り口まで走って行く気かと心配したが、三郎は青い洞窟に入って行った。 「龍! 出て来い! いつまでもおまえを相手にしてる暇ねえんだよ!」 しかし龍は現れない。それどころかコウモリさえいない。でも剣は強い光を放っているし、何処かに必ずいる筈だ。その光を頼りに、三郎は洞窟の奥まで進んだ。すると青い光が見えてきた。 (あれか?) 三郎は静かに近づき剣を構えて飛び出したが、そこにいたのは龍ではなかった。青く輝く巨大な龍人。光を連れ去った緑色の龍人とはまるで違う美しさと威厳に満ちたその姿に衝撃を受けている三郎を無視して、彼は三郎の後を追って現れた四郎に声を掛けた。 「牡丹、迎えに来たよ」 「青二さん……」
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