第14章 逆鱗に触れる

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「さあ、武器を置くか私を斬るか、どちらかを選べ!」 選べない。斧を持つ手から力が抜けていくが、離すわけにはいかない。 すると我に返った三郎が叫んだ。 「俺が斬ってやる!」 三郎は剣を振り上げて青二に突進した。 しかし剣が届くより先に青二の腕が三郎の胸ぐらを掴んで放り投げた。 「三郎!」 四郎はまた仲間を助けに行こうとしたが、より強く青二に引き留められた。 「牡丹!」 振り仰いだ青二の瞳は青く光っていた。怒った青二を初めて見た四郎は、覚悟を決めた。 「わかりました」 四郎の手から、斧が滑り落ちた。これでまた龍の世界に連れて行かれると思ったが、斧を完全に手放しても四郎は洞窟に留まっていた。 いつの間にか這い戻って来ていた五郎の手が、四郎の足を掴んでいたのだ。 「四郎は渡さない!」 「いい加減諦めなさい。牡丹は私を選んだ」 青二は再び攻撃したが、五郎は激しい衝撃に耐えた。 「おまえこそ諦めろ。死んで張り付いてでも四郎は渡さない」 「面白い、やってみろ」 「止めて!」
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