第14章 逆鱗に触れる

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四郎は青二の手を振り払い、両腕を開いて五郎の前に立ちはだかった。 「青二さんと生きるか、青二さん殺すか言うから生きる方を選んだんです。でも五郎ちゃん殺すか青二さん殺すか言うなら選べません。そんなんどっちも嫌や!」 青二は、五郎を守りながら叫ぶ四郎を呆然と眺めた。その隙に、背後から回り込んでいた三郎が斬りかかった。青二は寸前で気付いたが、完全には避けきれなかった。 「貴様!」 傷を負った青二の腕に龍のような青い光が巻き付き、指先の青い爪がジャックナイフのように伸びた。その手は三郎の手から剣を叩き落とし体を切り裂こうとした。 「三郎!」 赤い血が飛び散った。 しかしそれは三郎の血ではなかった。 「四郎!」 三郎が斬りかかった直後、五郎も四郎から離れ三郎を助けに向かったが、手前にいた四郎の方が早かった。三郎を庇って背中に深い傷を負った四郎はそのまま抱きつくように三郎に倒れかかり意識を失った。 「四郎!」 遅れて駆けつけた五郎はすぐに四郎を抱きしめて背中全体を覆ったが、龍人の爪で深くえぐられた傷口からの出血は五郎の着物を真っ赤に染めても止まらなかった。 誤って四郎を傷つけてしまった青二がただ呆然と立ち尽くしていると、背後に青い龍が現れた。三郎は慌てて剣を構えたが、龍は青二を背に乗せると三郎達を無視して去って行った。 「五郎、四郎は?」 「絶対死なせない。三郎、今剣はどうなっている?」 「え?」
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