第14章 逆鱗に触れる

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言われて確認すると、光が弱まっていた。 「あいつら、あっちの世界に帰ったみたいだ」 「そうか。なら今の内に洞窟を封印してこい。この奥にあるはずだ」 「え、俺独りで?」 「他に誰がいる!」 五郎は珍しく苛立った声で叫んだ。 「わかった」 三郎もまた珍しく素直に答えると、洞窟の奥に向かって駆け出した。封印の石は、五郎が言った通りすぐに見つかった。ここを封印してしまうと、青龍の国との繋がりは断たれる。剣を突き立てる前に一郎と次郎の顔が浮かんだが、迷っている時間はない。 三郎は覚悟して剣を刺した。青い光に包まれた剣はたちまち氷のように冷たくなり、同時に竜巻のような風を吹き上げ始めた。強く押さえていなければ剣が抜けてしまうが、触れているだけで手が痛い。それは他の戦士達と共に封印した時とは比べものにならない衝撃だった。 「ウオオオオー!」 叫んで激痛に耐えている内に手の感覚が麻痺してきた。 そして意識も失いかけた所で、封印の石は青の印に変わった。 「やった!」 青く輝く剣を手に、三郎は四郎と五郎がいる場所に戻った。 「五郎、封印出来――」
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