第15章 再会

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第15章 再会

封印した洞窟はトンネルのように滑らかになり、入って来た時より数段歩きやすく、すぐに外に出ることが出来た。龍の世界の入り口までの地図は大まかなものしか見ていないが、次に目指す場所はわかっている。黄色い砂漠だ。しかしここからは見えない。三郎は来た道と反対方向の坂を登ってみたが、そこからも砂漠は見えなかった。間違った方向に進んで道に迷ったら、転送紋を使えない三郎は彷徨い続けることになる。 「あっちか……?」 三郎は歩き出したが、暫く歩いても何も見えなかった。変わり映えのない荒れ地が続くだけ。暑くはなく、寒くもない。喉が渇くことも、腹が減ることもない。まるで夢の中のようだ。 (それともホントに夢なのかな……だとすればいつから?) 一郎が出て行って五郎に気絶させられた時か、それとももっと前からか。そもそも戦士になってここへ来たというのが全て夢の中の話なのかもしれない。戻りたい過去の地点を探しながら、三郎は歩き続けた。 (それとも俺、もう死んでるのかな) 誰もいない荒れ地に独り。生きているのかさえわからなくなる。死んだとすればいつなのか、三郎はまた記憶を遡ってみた。 最初に龍と出会った時、この世界の入り口で池に落ちた時、独りで赤い沼に行った時、何もかも溶かしてしまう龍に斬りかかっていった時、思い返せば死んでもおかしくなかった瞬間は多々ある。 それともついさっき、龍人に襲われたのは自分だったのかもしれない。四郎が庇ってくれてから今まで、死に際に見ている夢だとも考えられる。 そんなことを考えていたら急に疲れてきた。丁度いい高さの岩を見つけて、三郎はその上に腰掛けた。 なんとなく空を見上げてみたが、相変わらず希望なんて微塵も感じさせない灰色だ。その空にため息を吹きかけると、三郎は視線を前に戻した。すると遠くに土煙が見えて、少し遅れて音も聞こえてきた。 (何か来る!) 用心を怠るなとは言われたが、実際に移動途中で何かに遭遇したのは初めてだ。
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