第15章 再会

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土煙でよくわからないが、何か大きな生き物に見える。龍かもしれない。 三郎は立ち上がり、剣を構えた。やはりこちらへ来る。けれどもの凄い速さというわけではなく、大きさも大人の龍とは思えない。 「子供か」 子供なら独りで倒せる。退屈していたし丁度いい。三郎は相手を見据えたまま待った。 いよいよ接近して来た。やはり子供の龍だ。背中に人が乗っているように見えるが、人のわけがないから龍人だろう。龍人が一緒であるとすれば気を抜けない。先に攻撃を仕掛けようと、三郎は飛び掛った。 「待て、俺だ!」 一郎でも次郎でもないが聞き覚えのある声に、三郎は寸前の所で剣を止めた。砂よけの為か、顔にぐるぐると巻き付けた布を外しながら彼は言った。 「それにこいつも龍じゃねーし。よく見てみろ」 そう言われてみれば違う気がする。色は茶色っぽいし、どちらかというと大きなトカゲだ。 「とっくの昔に龍と枝分かれした出来損ないの龍トカゲ、まあ俺達と同類だ」 龍人の出来損ないが人間であるように、龍の出来損ないが今目の前にいる生き物だということらしい。三郎はそう教えてくれた人間の顔を見た。 刀鍛冶の源三だ。村を出るときには二度と顔も見たくないと思った相手だが、三郎はホッとして剣を持つ手の力を抜いた。源三は、自分に会って安心したような顔をした三郎に怪訝そうに尋ねた。 「なんだお前、迷子か?」 「違います!」 「じゃあカッコイイ兄ちゃん達はどうした?」 三郎が答えられずに黙っていると、源三はにやりと笑った。
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