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三郎は源三を連れて洞窟に戻った。
「この奥です」
「おいここ、龍が住んでるんじゃねえのか?」
「いえ、さっき封印したのでもういません」
「ホントか? こいつ怯えてるぜ?」
龍トカゲは洞窟に近付くのを嫌がっている。
「ああ……封印したからここには龍は近づけないんです。龍に似た生き物にも影響があるのかもしれません」
「そうか。じゃあここに置いて行くか」
源三が近くの岩に繋ぐと、龍トカゲは岩陰に隠れて丸くなった。
「よしよし、そこで待ってろ」
三郎は源三を連れて洞窟の奥へと進んだ。既に手遅れかもしれないし、源三が来たからといって状況は変わらないかもしれない。それでも独りよりマシだ。
仲間を全て失いそうになって初めてどれ程彼等に頼っていたかを思い知った三郎は、不安と悔しさを噛みしめて走った。
そして三郎は、源三と共に仲間が倒れているはずの場所に駆け込んだ。
「四郎、五郎!」
返事は期待せずに叫んだ三郎は、待っていた光景に目を見開いた。
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