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斧の戦士の印だ。四郎のそれは、腕ではなく項にあった。
「ああ、これ悪趣味やろ。首に斧刺さってる印、項に刻むか?」
龍の喉元にザックリ刺さった斧。それが斧の戦士の印だ。三郎はそれを見て呟いた。
「なんだ、ここにヒントがあったんだ」
あの時四郎が龍の喉に斧を振り下ろしたのは、咄嗟の判断で狙ったのではなかったのだと三郎は安心した。
「おまえにだってヒントはあるやろ。おまえの印は間違えとるのか? おまえの龍は尻尾切られて逃げる姿か?」
そう言われた三郎は、ムッとしながら袖をまくり上げて腕を突き出した。
「俺のはこれだ。こんなの……もっと小さい龍じゃなきゃ無理だ」
四郎と五郎は突き出された三郎の腕を掴んでその印を眺めた。
「おっ、いい場所についてるな。カッコイイじゃないか。確かに、これを真似するの大変だな」
五郎はそう言って三郎に優しく微笑みかけたが、四郎はニヤリと笑った。
「いや。おまえがまだ証に相応しくない証拠や。龍を串刺しに出来るドデカイ剣を扱えるのが、本物の剣の戦士ってことやろ?」
三郎はドキリとした。龍を串刺しに出来る大剣。
そんなものがあるのだろうか。あったとしても自分に使いこなせるだろうか。
「そんなデカイ剣、何処で手に入れるんだよ」
「さあなあ。一生懸命戦っとったら誰かがくれるんちゃう? せいぜい頑張りや、少年。さあ、行こか、五郎ちゃん」
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