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「三郎、何処行ってたんや。心配したで」
四郎が起き上がっている。三郎はワッと泣き出して四郎に抱きついた。
「ごめん、ごめんね、ごめん……」
「お前が謝るなんて珍しいな……てか謝るの俺の方――」
泣きじゃくる三郎の背中を撫でて宥めていた四郎は、自分を見詰めて立ち尽くしている源三に気付いた。
「どちらさんで?」
想像以上に美しい四郎に驚き見惚れていた源三は慌てて近付き、跪いて答えた。
「刀鍛冶の源三と申します」
四郎は一瞬首を傾げたが、思い出して頷いた。
「ああ、村の鍛冶屋さん! せやけどなんで?」
「偶然そこで助けを求められまして。そちらの方がお怪我を?」
四郎は泣き止もうと努力している三郎の体をそっと引き離しながら答えた。
「怪我をしたのは俺で、それを治す為に力を使い果たしてしまったようで……」
「村に術士がおります。呼んできましょうか?」
「お願いします」
四郎に頼まれた源三は急いで洞窟を引き返して行った。
「源三さん、めっちゃええ人やんか」
「それは――」
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