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とその時、動物の悲鳴が聞こえた。
「なんや?」
「源三さんが連れてた龍トカゲかも」
源三も危ないかもしれない。三郎と四郎が急いで様子を見に洞窟の外へ駆け出すと、源三は呆然と空を見上げていた。そして龍トカゲが繋がれていた岩には、切れた鎖が残っているだけだった。
「大丈夫ですか?」
話し掛けられても空を見上げたまま、源三は呟いた。
「龍だ……金色の龍……」
「金色? 銀色やなくて?」
現在、龍の世界の頂点に立つのは銀龍だと四郎は聞かされていた。先の王は金龍だったが、彼は王の座を銀龍に譲り龍の世界から離れたと。
「いや、確かに金色でした。ほら」
源三は地面から何か拾い上げて四郎に見せた。金色の鱗の欠片だ。龍トカゲをエサとして連れ去る際に剥がれ落ちたに違いない。四郎は源三から鱗の欠片を受け取って暫く眺めていたが、急にそれを握りしめて洞窟に駆け戻った。
「四郎?」
三郎と源三は驚いて四郎の後を追った。倒れたままの五郎の元に戻ると、四郎は源三に問い掛けた。
「源三さん、何か飲み物持ってます?」
「水なら――」
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