第15章 再会

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源三が差し出した水筒を受け取った四郎は、自分の口の中に鱗の欠片を放り込み水を含むと、五郎を抱き起こして口移しした。すると間もなく五郎の体が一瞬輝き、跳ねるように大きく震えた。そして五郎はゆっくりと目を開けた。 「……四郎」 「五郎ちゃん!」 「四郎、傷は?」 「もう大丈夫や。五郎ちゃん、俺助けるのに捨て身の技使ったやろ。アホや」 「おまえだって三郎を庇って斬られたじゃないか」 三郎の名を口にしても、五郎は目の前の四郎だけを見ていた。少し離れた場所に立ったまま2人を見ていた三郎の肩に、源三が手を掛けた。 「あの2人、お似合いだな。やっぱり礼は、おまえにして貰うか」 自ら言い出したことだし、嫌とはいえない。三郎は顔を覗き込まれるのを避けて俯くだけで黙っていた。しかし続く源三の言葉は、三郎の想像とは違っていた。 「金の龍を捕まえてくれよ」 三郎が少し驚いて顔を上げてみると、源三はしっかりと抱き合う四郎と五郎を見ていた。 「鱗一枚でさっきまで死にかけてた奴が元気になるんだぜ。肉を喰らったらスゲーことになるんじゃないか?」 するとようやく三郎達に気付いた五郎が答えた。 「それは危険です。普通の人間に龍の肉は消化吸収出来ません」 四郎もそれに頷いて言った。
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