第15章 再会

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「普通の龍人でも無理やろな。五郎ちゃん、ホンマにもう大丈夫か? 体、違和感ないか? 見た目はちょっと精悍になったで」 再び見つめ合い2人きりの世界に入ろうとする四郎と五郎に、三郎は割って入った。 「そんな危険なもの五郎に飲ませたの?」 「他に方法なかったやろ。上手いこといって良かったわ。せやけど源三さん、家畜やられてしもうて、すいませんでしたね」 「い、いえ。龍トカゲなんて村に帰ればいくらでも――あ、しかしあいつがいないと歩いて帰ることになるのか」 三郎が今までの経緯を説明すると、五郎は頷いて源三に歩み寄った。 「源三さん、大変お世話になったようで、ありがとうございました。ご心配なく、村へは私がお連れします。四郎と三郎は先に城へ戻って――」 「嫌や、俺等も一緒に行くわ。皆一緒の方が安心や。なあ、三郎?」 「うん」 もう絶対に独りは嫌だ。三郎は珍しく素直に頷いた。 一度城に戻って血まみれの着物を着替えた後、4人は五郎が描いた転送紋から村の入り口へ飛んだ。あの黒い大きな石の前だ。しかしその聳え立っていた筈の石は、真っ二つに割れて倒れていた。 「これは――」 地響きと悲鳴が聞こえる。急いで村に駆け込んだ4人が見たのは、金色に輝く龍だった。その下には深い亀裂と、破壊された家畜小屋があった。それ程大きな龍ではない。けれどその姿は神々しく威厳に満ちていた。それでも三郎は剣を構えたが、四郎がそれを制した。
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