第15章 再会

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「無理や。あの龍には効かん」 「なんで? じゃあどうするんだよ、このままじゃ村が――」 「いや、大丈夫みたいだ、ほら」 五郎の言葉に三郎達が見上げると龍は天高く舞い上がり飛び去って行った。龍の目的は龍トカゲの捕獲だったらしく、破壊された家畜小屋には一匹も残っていなかった。 「龍トカゲが口にあったようだな。源三さん、他に家畜小屋はありますか?」 「ああ、あるけど――」 「なら大至急村の外に移動させた方がいい」 「おいおい、全部餌として差し出せっていうのかよ。なんとか出来ねーのか。あんたら戦士だろ?」 「金の龍の爪は全てを切り裂き、尾は全てを打ち砕くと伝えられています。我らの武器はその力を譲り受けたものです。本来の力の持ち主には効きません」 「お父さん!」 源三の声が聞こえて、家の中から花が飛び出して来た。 「おう花、他の奴等も無事か?」 龍が立ち去った気配に他の村人達も外へ出て来た。幸い村人に死傷者はいなかったようだ。五郎と源三が彼等に金の龍について話すと、村の長が言った。 「どうして金の龍がこんな所へ。龍の世界の王に飼われているのではないのか」 「今の王は銀龍です。金の龍はもうおらんて聞いてました」 すると小さな男の子が前へ出て来て得意げに言った。
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