第15章 再会

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「考えって程やないけど……あんな貴重な龍が野良いうのは考えられへん思うて」 「龍人の主がいると?」 「そうや。少なくとも産んだ貴人はおるはずや」 「産んだ?」 三郎が驚いて尋ねると、四郎はしまったという顔をしたが、答えてくれた。 「貴人っていうのは龍人の中性のことや。龍は龍同士では子孫を残せなくて、龍を産むのは貴人なんやて」 「え? 中性の龍人が龍と交わるってこと?」 「そうやなくて、雄と中性が交わると龍が産まれるんやて。どうしてそうなるのか、どっからどんな形で出てくるのか、詳しいことは俺も知らんいうか怖くて聞けへんかったけどな」 「へえ、雄と中性から龍人じゃなくて龍が産まれ――あれ? 四郎、あっちで雄に抱かれたんだよな? じゃあ四郎も龍を妊娠してるかもしれないってこと?」 「せやから怖いこと言うなて。大丈夫やろ、俺は貴人やなくて戦士やから」 異性が交わって全く別の生き物を生むなんて、人間界の常識では考えられない。それにもう一つ考えられないことがある。 「だけど龍人って龍食べるんじゃないの? 自分の子供食べるってこと?」 「うん、まあそうなんやけど、龍は食べられても死なんのや。なんていうか――そうや、果物のなる木や思うたらええ。リンゴ採って食べてもリンゴの木は枯れへんやろ。それと一緒や。決まった場所があって、龍人の雄は龍を傷つけずに肉を取り出して食べることが出来るんや」 死なないと聞いても違和感はある。拒絶するように黙ってしまった三郎を宥めるように四郎は言った。 「俺も最初聞いた時はびっくりやったし、気持ち悪思うたわ。せやけど考えてみればよう出来た生態系やで」 「どこがだよ」
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