第15章 再会

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「龍が栄養になるものだけ詰め込んだ肉作って食べさせてくれるお陰で、それを食べる男の龍人は排泄しなくてすむのや。その男の体液だけで生きとる貴人もな。俺等ももう長いこと排泄してへんけど、楽やし快適やろ?」 それは確かにそうだ。今ではもうトイレに行く生活は考えられない。 「女は?」 「龍の排泄物を栄養にして育った作物食べるらしいけど、どうなんやろ。綺麗な子でも低く扱われてるからクソするんちゃう? ちなみに龍人を生むのは女や。男も女も貴人もな。子種は貴人から貰うらしい。それは人間の男女と一緒や」 「四郎、向こうで女ともやりまくってたのかよ」 「していい言われたけど、してへん。俺完全な貴人やないから、人間が生まれたら可愛そうやろ? それになあ、誰とでも好きなだけしていい言われるとその気なくなるで。女の子なんて可愛そうや。まともな恋愛も子育ても出来へんのやから」 三郎は、そう言って物憂げな表情でため息をつく四郎に見惚れた。あの洞窟で見た龍人の女は確かに可愛かったが、今の四郎は彼女よりずっと美しい。戻ってきてからまだ一度も抱いていないが、きっと体も以前より男を虜にする進化をしていることだろう。うっかり興奮しかけて慌てて四郎から目を逸らすと、五郎に小突かれた。 「気を散らすな。俺達は龍の餌に乗っている。今はまだ満腹だろうが、油断しているとこいつごと食われるぞ」 「そうやな、あいつが腹減らす前に探しだそう」 3人は、龍トカゲを急がせて山の麓に辿り着いた。 それは封印や砥石に使われる黒い岩で出来た山だった。木や草など生えていないようだが、表面はごつごつと入り組んでいて決して見通しはよくない。3人は慎重に山の奥へと進んでいったが、どこまで進んでも黒い岩しかない。 「本当にここにいるのかな」 「静かに! 何か聞こえる」
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