第15章 再会

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「父が僕に残した手紙を読んだんです。龍のいる世界があって、僕にはそこの龍人の血が流れているって。だからもしも体に異変が起こったら誰にも言わずに臥龍山の黒い岩の所へ行って中に入れてくれと祈りなさいと書かれていました。三郎、黙っててごめんね」 「ううん。俺の方こそ、気付いてあげられなくてごめんな」 封印の石の前で光を見た時には、何をしているのか見当もつかなかったが、今なら光がどんなに苦しんでいたのかわかる。それと同時に光の父親のことも思い出した。信じられないくらい綺麗な人で、初めて会った時にはてっきり母親だと思った。その彼と自分の父親は、子供心にも違和感を覚えるほど親密だった。今の光より年上で、より濃く龍人の血を受け継いでいる光の父親は、恐らく光以上に苦しんでいたのだろう。その彼に自分の父親が何をしてやっていたか気付いてしまった三郎は眉を顰めてため息をついた。 「三郎?」 「ああ……ごめん、何?」 「背が高くて綺麗だけど……四郎さんと五郎さんは龍人なの?」 四郎は五郎と顔を見合わせてから答えた。 「ああ俺等も龍人の血が流れとる仲間や。三郎もな」 「えっそうだったの?」 「そうらしい。知ったのは、光がいなくなってからだよ」 「そうなんだ。三郎もお父さんからの伝言で来たの?」 「いや……俺はちょっと違うんだけど……四郎、五郎、それでどうする? この龍は今のところ安全みたいだし、光を城に連れて行って休ませてあげてもいい?」 「そうだな。でもこの龍を残して行くのは……」 今は大人しくしているが、また餌を探しに行って村に迷惑をかけるかもしれない。金色の体だが大人にしては小さな龍を眺めていた四郎は提案した。
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