第15章 再会

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「じゃあ連れて行けばいいじゃん。途中で何か食えそうなものあったら食わせればいい」 「そうか、そうやな。黄色い砂漠やったら龍の餌場やし、食べてくれたら俺等も助かる。でも光ちゃん一人残して行くのも心配やないか?」 「後で本人と話してみるよ。それより四郎、傷はもう大丈夫なの?」 「ああ、平気やないかな。どうなっとるか見てくれへん?」 そう言うと四郎は三郎に背を向けて着物を肩から落とした。白い背中には赤い爪痕がくっきりと刻まれていた。本当は自分が負うはずだった傷だ。三郎は四郎の背中を抱いて、傷をそっと自分の胸に押し当てた。 「傷跡がはっきり残ってる。痛い?」 「いや、暖かい。なんや急に眠くなって来た」 そう言うと、四郎は三郎に体を預けてきた。顔を覗き込むと、もう目を閉じて寝息をたてている。三郎は四郎を自分の布団に寝かせた。 「色々あったし、疲れたよな」 四郎の髪を撫でながらそう呟いた三郎も疲れているはずだが、目は冴えていて眠れそうになかったので、独り部屋を出て庭に向かった。金の龍はさっきの場所で丸まっていたが、三郎が近付くと顔を上げた。 「おまえも眠れないのか?」 龍は答えるように低く鳴いた。 「さっきさあ、四郎が俺の匂いかがせただろ? 俺に似た匂いは嗅いだことがないから首振ったの? 俺の父親は光のお父さんと一緒じゃなかったってこと?」 龍はさっきより長く抑揚のある声で鳴いたが、三郎にはさっぱり意味がわからなかった。 「一緒にいたとしても俺が戦士になったってことは、死んだんだよな」
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