第16章 雄の交わり

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第16章 雄の交わり

「ちょ、ちょっと待て」 「どうした。もう疲れたのか?」 一郎は、馬乗りになって黒龍を見下ろしながら尋ねたが、動きは止めなかった。 龍王の城に監禁されて以来、一郎は龍人の男達に抱かれ続けている。 多くは龍王に仕える緑龍達だが、黒龍のような他の色の幹部にも抱かれた。彼等の体液は緑龍より濃い上に特殊な龍の成分を含んでいるので並の貴人では消化出来ず、場合によっては死に至る。しかし一郎は平気だった。それどころか抱かれる度体に力がみなぎり、より強く美しく成長していく。 ――もっと欲しい、もっと吸収するべきだ 一郎は本能に従って腰を振り続けた。黒龍も最初はそれを楽しんでいたが、もう疲れてきた。黒龍が一郎に食事を与えるのは2度目だが、前回は一郎はこんなに積極的ではなかったし、すぐ別の雄が来て譲ってしまった。 「おい椿、今日は他の奴等どうした?」 黒龍が助けを呼ぶように部屋の奥に声をかけると、椿ではない声が返って来た。 「別の戦士が来たんだよ。皆そっちへ行った」 椿の代わりに返事をした者が、ゆっくりと姿を現した。 黄色い髪の雄、黄龍だ。 龍王の城から最も離れた国に住む彼が一郎に会うのはこれが初めてだ。別の戦士が捕まったという知らせに我に返った一郎は黒龍から離れようとしたが、その前に近付いて来た黄龍に肩を押さえられた。 「自分が身代わりになるからこいつを解放してくれと頼んだらしいが……勝手に乗り込んできて暴れた戦士を帰せるわけがない」 せっかく助けた四郎が戻って来てしまったのかとため息をついた一郎の背中を、淡い黄色の指が撫でた。
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