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冷めかけていた体が一気に熱くなり、一郎は仰け反ると同時にまだ自分の中にあった黒龍自身を締め上げた。
「うあっ!」
叫びと共に絞り出された黒龍の体液を吸収した一郎の体はその一瞬で一回り大きく、より美しく成長した。
「ほう。これは凄い」
感心した黄龍が再び一郎の背を撫でようとすると、黒龍は慌てて一郎から離れ、本当に疲れ果てた声で抗議した。
「おい、もう勘弁してくれよ」
「そんなに搾り取られたのか?」
「ああ、こいつ普通じゃねー」
「なるほど。これだけ強い体なら銀の龍も産めるかもしれないな。でも后候補はもう一人の方にするそうだ。こいつは俺が貰って行く」
「何を勝手な――」
「勝手ではない。ちゃんと龍王様の許可を得ている」
そう言って黄龍が指を鳴らすと、一郎の首から銀の輪が消え、黄色い輪に変わった。
「帰せないならせめて戦士のリーダーとしての尊厳を守ってやってくれという后候補の願いを受け入れて捕虜にすることになったのだが……さっきのようなおまえの姿を見たらがっかりするだろうなあ」
そんなことを言うのは四郎ではない。まさかと思いながら、一郎は叫んだ。
「捕まったのは次郎なのか? 肌に百合の花が咲く弓の戦士か?」
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