第16章 雄の交わり

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青二は四郎との馴れ初めを語った。 青二の相手が戦士の一人と聞いて黄龍は驚いたが、辺境の地に生まれ育ったわけでもないのに学生時代から青二が人間に興味を持っていたことを思い出して納得した。 「なるほどね。謝ってやり直せばいいという単純な話ではないわけだ。で、俺の所に来たのは戦士のリーダーに会う為か?」 「えっ……彼はここにいるの?」 「なんだ、それを聞いて来たわけじゃないのか。戦士を2人捕獲出来て、2人とも同じ城に置いておくのは危険だと判断した龍王様が、残りの戦士が攻めてきた時の囮にしろと1人俺にくれた」 「そうだったんだ……」 「知らなかった? じゃあ本当にただ俺に会いに来たんだ。それは嬉しいね」 黄龍は青二を抱き寄せて頬に口付けた。 「君の体液が強いのは俺のせいかもしれないな」 食と性が結びついた龍人は人間に比べて性欲が強い。男が貴人に食事を与えることが許されるのは成人後だが、それ以前に性に目覚めた若い男同士が交わるのは珍しくない。青二と黄龍は学生時代何度も交わっていた。 逞しい男に成長した今も青二には繊細な美しさが残っている。黄龍は更に唇にキスしようとしたが、青二の顔を見て止まった。 「もうこんな風に触れられるのは嫌か?」 「いや、そうじゃなくて……肩にちょっと傷があるんだ」 「怪我をしているのか? まさか戦士の武器で?」 「ああ。傷口の表面は塞いだんだが……」 黄龍は青二の肩を露わにした。水色に輝いているはずの皮膚の一部が濃紺になっている。
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