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第3章 カリスマリーダー
大きな岩が林立して視界を遮る、まるで迷路のような細道を、3人は進んで行った。
あの岩の下の階段を降りて来たのだから、単純に考えればここは地下世界だ。地下と言えば湿度が高いイメージがあるが、ここの空気は乾燥している。池に落ちてびしょ濡れになったはずなのに、3人の服は歩いている間に乾いてしまった。
けれど砂漠のような暑さはない。反対に寒くもない。体にとっては実に快適な空間だ。
しかし相変わらず辺りは薄暗く、美しいとは言えない風景が広がっている。
足元は土のようだ。時折色のない草のようなものが生えているが、それが正常な姿なのか、枯れているのかわからない。
「絵巻は大げさに描かれとる思うてたけど、ほんまに薄気味悪い所やなあ」
うんざりしたように呟く四郎に、三郎は尋ねた。
「ねえ、ここって何処?」
「何処て……俺等の世界と龍人の世界を繋ぐ場所や」
「ここはまだ龍人の世界じゃないんだ」
「あっちの世界に近い場所やけどな。一度離れた世界をつなげようとして、あっちの奴等が広げた場所や。大昔の取り決めで、ここに龍を放ってはあかんことになっとる。それが破られたら俺等が退治に向かう。退治したらあっちの世界の入り口を封印してお終いや」
「え、龍人の世界に行って戦うんじゃないの?」
「おまえなあ、5人やで? 5人で敵地に乗り込んでどないする。俺等の仕事は、ここから危険な龍人と龍を追い出すことや」
「それだけ?」
「それだけ言うか? さっき何も出来なかったくせに」
四郎に気にしていることを言われた三郎は、ムッとして駆け出した。
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