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「ああそうや。それに倒したの、俺や」
そう言われると、三郎は大人しくなった。悔しいけれど、四郎の言う通りだ。今行って見つけ出すことが出来たとしても、助けるどころか光を絶望させるだけに違いない。五郎は大人しくなった三郎を放すと、その背中をバンと叩いた。
「焦るな。あの子なら大丈夫だ。少なくとも龍人に殺されることはない」
「本当に? どうして?」
「龍も龍人も人間は食べない。邪魔だと思えば殺すだけだ。連れて帰ったなら、他に目的があるのだろう」
「他の目的って?」
「知らん。いいから急いで歩け。一郎様が待っている」
3人は先を急いだ。
暫く進むと、道が開けてきた。城のようなものが見える。
「へえ、絵で見るより立派やな。こんなんよう建てたなあ」
目前に迫った城に、四郎は感心した。テントのようなものを想像していた三郎は、更に驚いて城を眺めていた。
「入り口は反対側か?」
高く聳える城壁に入り口らしき場所は見つからず、四郎は尋ねた。
「いや。何処からでも入れる」
そう答えると、五郎は城壁に手を翳した。するとたちまち城壁の一部が光り始めた。
「おまえ達は武器をかざして武器から先に光に入れ」
そう言うと五郎は手から光のスリットに消えていった。
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