第3章 カリスマリーダー

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跪いたまま五郎が障子を開け、三郎と四郎は、五郎に倣って部屋に入った。 中で待っていたのは、袴姿の男だった。年は若く見える。五郎より年下かもしれないが、その五郎が自然に敬語になるのがわかる。端整という言葉がこれ程似合う男はいない。鋭い眼差し。凛とした佇まい。一縷の隙もない、完璧な姿だ。 龍と戦う男達のリーダー、大刀一郎。彼は、生まれながらにリーダーとしてのカリスマ性を備えていた。四郎はすぐに傅いた。しかし三郎は、圧倒的な自信で迫る一郎に反感を覚え、負けまいと顔を上げていた。一郎は、その三郎を見詰め返して尋ねた。 「おまえが三郎だな。臥龍山の封印を解いた者を見たか?」 聞かれた三郎は、不審そうに眉を顰め黙っていた。四郎は三郎を肘で突いて答えるように促したが、口を開く気配がないので代わりに答えた。 「あの黒い岩を割ったやつのことですか? 俺が着いた時にはもうおりませんでしたが、緑に光る龍人がいたそうです」 「三郎、おまえはその龍人が岩を割って出てくるのを見たのか?」 再び問われた三郎は、更に眉を寄せて問い返した。 「あんた先にここに入ったんじゃないのか?」 「アホ! アンタて――」 しかし一郎は気にしなかった。 「ああ……自己紹介がまだだったな。俺は大刀一郎。おまえ達のリーダーだ。ここでは俺の指示に従って貰う」 「嫌だと言ったら?」 「オイ! ええ加減に――」
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