第3章 カリスマリーダー

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「おい、行くで」 腕を引こうとする四郎を振り切り、三郎は一郎に向かって叫んだ。 「あんた、そんなに強いのか?」 「アホ、何言うとる!」 四郎は驚き窘めたが、三郎は一郎を睨み続けた。 「先祖が殿様でずっとリーダーだったから偉いなんて俺は認めない。認められない相手に威張られるのは不愉快だ」 「見ればわかるやろ。一郎さんは出来るお方や。謝れ!」 慌てる四郎を制するように軽く片手を上げると、一郎はフッと笑って立ち上がった。 「力を示せば納得するのか?」 一郎は悠然と近付き、三郎を見下ろした。 眼光鋭い切れ長の目に見据えられた三郎は、黙って視線を逸らさずにいるのが精一杯だった。 「ならば示してやる。来い」 一郎は先頭に立って訓練場に向かった。 城の地下に広がるその場所は、城に辿り着く前に龍と戦った場所に似た荒涼とした空き地だった。 「ここには、戦士達が倒してきた敵の残像が出現する。残像に戦士を傷つける力はない。しかし攻撃を受ければ、実際にそれなりの苦痛は感じる。残像が記憶している致命傷に匹敵する傷を負わせることが出来れば、残像は消える。それが出来なかったとしても、一定時間が過ぎれば、やはり消える。四郎、おまえの武器を貸せ」
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