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「一度城に戻る」
「交代で見張りますか?」
「中にいるのが銀の龍なら1人、2人では危険だ。全員一緒に戻る」
城に戻ると、三郎と五郎に資料室の文献を調べるように指示して、一郎は四郎を連れて自室に向かった。例の龍人語の文献を調べる為だが、三郎は不満そうに2人の背中を見送った。
「やっぱり次郎の後任は四郎か」
「記録は三郎が任されたじゃないか」
「それも四郎がやったらいいんじゃない?」
そう言いながら、三郎は棚から適当につかみ取った巻物を机の上に投げ出した。
「おいおい、大事な資料に八つ当たりするな」
「八つ当たりなんて――」
してないとは言い切れず、三郎は黙った。そして黙ったまま作業を始めたが、暫くして五郎に尋ねた。
「五郎って、昔から一郎のこと知ってるの?」
「ああ」
「昔からあんな感じ?」
五郎は少し戸惑ってから答えた。
「いや。今は戦場のリーダーとして厳しく振る舞っておいでだ。平穏な日常とは見せる顔が違って当然だろう」
「本当は優しいってことは俺にだってわかるよ。でも何考えてるかわかんないっていうか――ねえ、一郎って次郎のことどう思ってるのかな」
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