第23章 光のドーム

6/20

224人が本棚に入れています
本棚に追加
/962ページ
「一度城に戻る」 「交代で見張りますか?」 「中にいるのが銀の龍なら1人、2人では危険だ。全員一緒に戻る」 城に戻ると、三郎と五郎に資料室の文献を調べるように指示して、一郎は四郎を連れて自室に向かった。例の龍人語の文献を調べる為だが、三郎は不満そうに2人の背中を見送った。 「やっぱり次郎の後任は四郎か」 「記録は三郎が任されたじゃないか」 「それも四郎がやったらいいんじゃない?」 そう言いながら、三郎は棚から適当につかみ取った巻物を机の上に投げ出した。 「おいおい、大事な資料に八つ当たりするな」 「八つ当たりなんて――」 してないとは言い切れず、三郎は黙った。そして黙ったまま作業を始めたが、暫くして五郎に尋ねた。 「五郎って、昔から一郎のこと知ってるの?」 「ああ」 「昔からあんな感じ?」 五郎は少し戸惑ってから答えた。 「いや。今は戦場のリーダーとして厳しく振る舞っておいでだ。平穏な日常とは見せる顔が違って当然だろう」 「本当は優しいってことは俺にだってわかるよ。でも何考えてるかわかんないっていうか――ねえ、一郎って次郎のことどう思ってるのかな」
/962ページ

最初のコメントを投稿しよう!

224人が本棚に入れています
本棚に追加