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「もちろん大切な仲間だと思っているだろう」
「それだけ? 次郎の方は一郎が全てだよ。一郎の為なら、多分なんだってするよ。一郎は、次郎は向こうで要領よくやってるだろうって言うけど、なんか心配でさ」
三郎は開いた資料をぼんやり眺めながらため息をついた。確かに次郎は一郎のこととなると冷静さを失いがちだ。それは五郎も気になったが、心配したところでどうにも出来ない。
「そうだな。早く次郎を助けに行けるよう、頑張ろう」
三郎は納得しない顔で黙ったままで、五郎の方もそれ以上何も言わずに資料に集中した。
そこへ一郎達がやって来た。
「何かわかったか?」
「いえ。やはり過去に龍人と直接戦ったことはないようです。そちらはいかがでした?」
「結界に関する記述はなかった。わかったのはかつて戦士が龍王の城に滞在した間、龍王は一度も眠らなかったということだ」
「眠る必要がないってこと?」
「そうやない。青二さん、疲れたら寝る言うてた。せやけど女や貴人みたいに毎日は寝ないって」
「体力では勝てないということだ。今日はもう休もう。明日再び出かける」
そう言うと、一郎は部屋を出て行こうとした。
「ちょっと待ってよ。俺まだ疲れてないし、色々気になって眠れないよ」
三郎に呼び止められた一郎は、背を向けたまま歩きながら答えた。
「なら俺が寝かしつけてやる。部屋に来い」
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