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「銀の龍が力を込めて地を蹴ると千里が無と化すと書かれている。あの最後の技だ。あれが実戦だったら、俺達は跡形もなく消えていたようだ」
「千里て――」
「約4000キロだ。人間界の国がまるごと一つ入る」
「それアカンやないですか。一蹴りで国一個消せるならあっという間に全世界――」
「しかしこれは金龍の時代に戦士が聞いてきた話だ。もしかしたら大げさな表現かもしれない」
「せやけど――」
「ああ。危険なことに変わりはない」
「のんびりしとる場合やない、はよ何とかせんと」
四郎は慌てて出て行こうとしたが、一郎に腕を掴まれた。
「今行っても無駄だ。明日になればいくら王でも少しは疲れているだろう」
一郎は、掴んだ腕を引いて四郎を抱き寄せると、戸惑う四郎に口付けた。
「王に誘惑されないように、腹を満たしておけ」
「い、一郎さん?」
一郎は四郎を押し倒すと着物を剥ぎ取り愛撫を始めた。さっき三郎を抱いたばかりだというのに、精力は全く衰えていない。項に舌を這わせて牡丹の花を咲かせると、一郎は四郎の頬を両手で掴んで見下ろした。
「おまえは本当に綺麗で可愛いらしい。青二を落としてくれて助かった」
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