第24章 堕ちてきた天使

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「一体何があったの?」 心配そうに顔を覗き込んでいる青二に支えられて体を起すと、黄龍は苦笑して答えた。 「桜が素手で首輪を引きちぎった」 「ええっ、そんなこと出来るの? 出来たとしても――」 「無事ではないだろうな。もの凄い気力で耐えていたが、今はあいつも倒れているだろう。やはり彼等は我々の常識では計り知れない猛獣だ」 それを聞いた青二は立ち上がった。 「ごめん、もう帰らないと。色々ありがとう。ほんとに……ごめんね」 「青二?」 少し様子が変だった。しかし呼び止めることは出来ず、青二は転送紋の中に消えてしまった。 それ以来、青二と連絡が取れずにいた。今日それとなく青龍に彼の安否を尋ねると最近忙しくて会っていないと答えたが、一瞬動揺したように見えた。もしかしたら青龍にも行方がわからないのかもしれない。そうだとすれば益々心配だ。 「一体何処にいるんだ」 ため息混じりに呟きながら、黄龍は青二を呼び出した。するとそれに青二が応じた。 『黄龍……』 「やっと出たか。心配したぞ」 『ごめんね……』 元気がない。今にも消えそうな声だ。 「どうした。また何かあったのか?」 『うん……そっちへ行っていい?』 「ああ、もちろん」
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