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答えながら転送ゲートに移動すると、すぐに青二が現れた。随分やつれている。黄龍を見ると安心したように微笑んだが、崩れるようにその場に倒れてしまった。
「青二!」
黄龍が慌てて駆け寄り抱き起こして呼びかけると、青二は閉じてしまった瞼を開こうとしたが、半分しか開かなかった。
「こんなにやつれて。一体何があったんだ?」
「兄さんから聞いてないんだ……じゃあ……他の長達にもまだ知らされてないんだね。それとも大したことじゃないと……思われてるのかな……」
「何の話だ。とにかく医務室へ――」
「その必用はないよ……飢えてるだけだから……緑龍の肉を……くれないかな……」
事情を聞くのは後回しにして、黄龍は青二に龍の肉を差し出した。それを食べると、青二は起き上がる体力を回復した。
「加工品なら青い龍の肉もあるぞ」
「ほんと? 頂いていいかな……」
「今更遠慮するな。青い国にいられなくなるようなことをしでかして逃げてきたんだろう」
「流石、お見通しだね。でもこの先の話は、他の人に聞かれるとマズイかな……」
青二がそう答えた直後に、山吹が現れた。
「黄龍ただいま。お腹空いた」
黄龍は一度青二から離れて山吹を抱き寄せ口付けた後、髪を撫でながら優しく諭した。
「また外に行ってたのか。ダメだよ、今サソリを量産してるから砂嵐が酷いだろう? 吹き飛ばされてサボテンにぶつかったら大怪我するよ」
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