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その頃、一郎達は黄色い砂漠に着いて龍人界への入り口を探していた。
「この辺りで金の龍が餌を食べていたのだな。そこからどの方向へ飛んだんだ」
「えっと……右! 右の方だよ」
「距離は?」
「えっ……」
三郎が答えられずにいると、四郎が尋ねた。
「どんな感じで飛んだんや。バッサバッサってゆったりした感じか、それともビューンてもう息も出来んような速さか?」
「どっちかっていうと……ビューンかな」
「どれ位の時間や。助けてーって一回叫ぶ位か? それとも、あー俺なんてヘマしてもうたんやってうだうだ悩んで泣き出す位の余裕あったんか?」
「泣いてねーよ。気がついたらもう壁が目の前にあって、ぶつかるって目を閉じたら反対側に抜けてた」
「目印ないんか。特徴的な植物とか」
「そんなの見てる余裕なかったよ」
「使えんなあ」
三郎はムッとしたが、一郎と目が合って四郎に言い返すのを我慢すると、軽く頭を撫でて貰えた。
「まあいい。とにかく壁に向かって進もう」
黄色い砂漠は静かだ。あれ程いたサソリも出て来ない。
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