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「攻撃――ああ、それでサソリを量産してるのか」
「サソリを量産!?」
サソリの毒で酷い目にあった三郎が叫んだ。龍王が作業をしているというドームの上の封印からサソリを放り込まれたら三郎の村は大変なことになる。山吹は、青ざめて叫んだ三郎を見ると、近くに生えていたサボテンのトゲを折って近付き、腕を掴んで突き刺した。
「イッテ! 何す――」
「君、サソリの毒に免疫あるじゃん。なんでそんなに怖がってるの? 子供の頃ハサミで怪我でもした?」
「免疫があるのは俺達だけだ。刺されたら皆死んじゃう!」
今にも泣きそうな声で訴える三郎に、山吹は呆れた。
「大げさだな。死ぬまでは――」
「いえ。我々が特殊で、生まれ育った世界の人々は皆小さくて弱いのです。このままでは愛する祖国の人々は皆殺されてしまいます」
一郎は山吹を見つめて訴えた。
「それは酷い話だね。でもそれにはきっと理由があるんでしょ。龍王様は趣味で殺戮をなさる程暇じゃないよ?」
「もちろんそうでしょう。しかしどんな理由があろうと、我々は黙って滅ぼされるわけにはいきません」
「まあ……そうだろうね」
相変わらず好奇心に瞳を輝かせて山吹は頷いた。
「で、僕が何かしてくれると思ってるの? 龍王様に服従している黄龍の妻だって言ったのに?」
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