第24章 堕ちてきた天使

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「車で迎えに行ったら、次郎は驚くだろうな」 五郎が俯いてしまった三郎の肩を抱いて慰めていると、いきなり黄二が現れた。車はない。転送紋を使ったようだ。 「急いで。早くこっち」 翻訳機を身につけて戻って来た黄二は、壁に背を向けて走り出した。大きな荷物を抱えているが、速い。戦士達は慌てて後を追った。あっという間に砂漠を抜けると、彼は空中に指で転送紋を刻んだ。それは驚いたことに、戦士の城への転送紋だった。 「その紋は――」 「話してる時間ないから、早く入って」 率先して一郎が入ると、他の戦士も続いた。最後に飛び込んだ黄二は、ゲートから城の中庭に出ると懐かしそうに言った。 「うわあ、変わってないね」 「ここにいらしたことがあるのですか? あなたは一体――」 「昔金龍に連れられて何度か来たよ。俺は彼の……うーん君達の言葉で言うの難しいなあ……部下でも友人でも恋人でもなくてね……性処理も請け合う話し相手ってところかな?」 一郎の後ろで聴いていた四郎は、思わず吹き出しそうになって口を覆った。 「言葉おかしい? いいよ笑って、楽にして。さっきは山吹ちゃんいたから言わなかったけど、君達のことは金龍から聞いてるよ」 「金龍というのは先代の王のことですか? だとすると――」 「ああ。随分昔の話だね。君達って言い方は間違ってたかな」
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