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「いえ、我々のような戦士の存在についてお聞きになったということですね。さあ、どうぞこちらへ」
一郎は黄二を会議室に案内した。部屋の中も懐かしそうに眺めながら席についた黄二は、一郎に問い掛けた。
「龍王と戦える体が欲しいんだって?」
「はい。すぐそこで龍王が人間界を滅ぼす準備をしているようですが、戦いを挑むことすら出来ないのです」
「そりゃそうだろうね。今戦ったら一瞬で負ける。龍王は君達を殺したくないから無視してるんだよ」
龍王を呼び捨てにする龍人は初めてだ。龍王に感じたような圧倒的な強さとは違うが、彼もまた敬うべき偉大な龍人であることはわかる。先代の黄龍の弟だというこの人は一体どれ程の時を生きてきたのだろうと考えながら一郎が続く黄二の言葉を待っていると、三郎が割り込んできた。
「あんた、俺達を降伏させに来たのか? 俺達に協力する気がないなら――」
「三郎、黙れ」
「だって!」
「いいよ。君の質問に答えよう」
黄二は笑顔で三郎を許し、本音を告げた。
「君達の戦いを邪魔する気はない。けれど協力する気もない。ただ、龍王に匹敵する体になりたいという君達の願いには興味がある」
「どういうことですか?」
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