第24章 堕ちてきた天使

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「山吹ちゃんの鼻は信頼出来る。可愛い君と威勢のいい坊やからは貴人の匂いしかしないと言っていた。そちらの男性も……山吹ちゃんの食欲をそそらないようじゃ難しいだろう。ということで、2人きりにさせて貰うよ」 そう言いながら空中に転送紋を描くと、黄二は一郎を連れて別の部屋に飛んだ。一郎が龍人界で連れ込まれたのと同じ、綿菓子をくり抜いたようなピンク色の部屋だ。 「ここは……」 「城の中だけど、君達には教えられていない部屋だよ。ここなら部下に気を遣わずに話が出来る」 「話す事などありません。始めて下さい」 「本当にいいの? 金の龍人になるってどうことかわかってないでしょ?」 「はい。ですが、お話を聞いても理解出来ないでしょう」 覚悟なら出来ている。一郎は、強く真っ直ぐ黄二を見つめ続けた。黄二もしばらく黙って一郎の瞳の奥を覗いていがた、やがてフッと笑って答えた。 「そうだね。僕だって正確に理解出来ているわけじゃない。じゃあ、始めようか」 黄二は背負ってきた荷物を開いた。中に入っていたのは龍の肉の塊だった。赤、青、黄色、白、黒。並べられていく肉を見ながら、一郎は尋ねた。 「金の龍人とおっしゃいましたね。銀ではなく、金で確定なのですか?」 「だって銀龍と戦うんでしょ? 銀の龍人になって勝てると思う? 金の龍がいない状態で戦うことになるけど――」 「金の龍ならいます。今、青二という龍人が育てている筈です」 「なんだって!?」 黄二は驚いて固まった後、笑い出した。
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