第25章 やつれた男

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第25章 やつれた男

黄二が一郎だけ連れて消えた後、残された3人はどうしたらいいのかわからず途方に暮れていた。 「なあ、どうするんだよ」 「どうするて……待つしかないやろ」 「いつまでだよ。数時間か、数日か、それとももっと長いのか?」 「知らんわ。五郎ちゃんどう思う?」 「どうだろうな。いずれにしろ訓練と資料の分析をして待つしかないだろう。そう苛立つな三郎、今訓練場を――」 そう言いながら五郎が立ち上がると、三郎はバンと両手で机を叩いて大声を上げた。 「そんなことしてて大丈夫だと本気で思ってるのかよ! そもそもあの龍人、信用出来るのか?」 信じるしかないが、それが正しいと言い切る自信はなく、五郎は黙った。黄二は一郎を強い体にする気などなく、上手く一郎の警戒心を解いて龍人界に連れ戻しただけなのかもしれない。もしそうだとすればここで待っていても一郎は永遠に戻らず、人間界は知らぬ間に消し去られてしまうだろう。 「そんなら三郎、俺等は今何したらええと思う?」 質問を返された三郎は、黄二の話を思い出し、彼の言葉の中に何かヒントがないかと探った。 「あいつ――龍王は俺達を殺したくないんだって言ったよな」 「ああ、言うたけど……ちょ、どこ行く気や、三郎?」 何か決心して部屋を出て行こうとした三郎を、四郎は慌てて引き留めた。 「決まってるだろ。光のドームだ。龍王に会ってくる」
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