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すると三郎は少し頬を染めて視線を逸らし、四郎は鼻息を荒くした。
「まさか。びっくりしたわ。確かに男の子やけど、偉い美人やな。あの子、いくつ?」
「二十歳だ。戦士になったばかりだが、真弓の家は厳格だから、幼い頃から教育されている。弓の腕はもちろん、あっちの方も完璧だ」
「え、五郎ちゃんもうあの子と――」
益々鼻息が荒くなった四郎に、五郎は残念そうに首を振って答えた。
「次郎の部屋は、一郎様と間続きだ」
「何やて? 職権乱用やないか」
三郎には、2人の会話の意味はさっぱりわからなかった。質問すればまた何も知らないとバカにされるし、戦いとは関係なさそうな話なので無視して湯船に向かおうとすると、四郎に腕を掴まれた。
「三郎、明日から特訓や。打倒一郎やで!」
「――は?」
何やら急にやる気を出した四郎に向かって、三郎は首を傾げた。やはり何の話かさっぱりわからない。四郎の手を払って湯船に向かうと、2人もついて来た。そして湯船に入ると、四郎は三郎の肩に手を掛けた。
「三郎、意外と筋肉ついとるな。なんかスポーツやっとるのか?」
「剣道ならやってるけど……」
「へー、いい肩やな。胸筋もついとるし」
「そう? ――触るな!」
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