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「四郎、大丈夫か?」
五郎は、龍に吹き飛ばされた四郎を抱き起こして尋ねた。
「なあ、次郎に何があったんだ?」
するとなお少し躊躇ってから、四郎は目を潤ませて答えた。
「次郎ちゃんが……自殺を図った」
「なんだって!?」
「次郎ちゃん、掌から戦士の矢出せるやろ、それで胸を貫いたみたいやって……」
五郎は、一郎の話を思い出した。一郎は、三郎がつかまって自分と同じ目にあったら壊れてしまうだろうと言ったが、次郎については心配していなかった。しかし実際には次郎もそれ程強くはなかったようだ。
「なんてことだ……」
「せやけど、あの龍人、次郎ちゃん助ける為に帰ったんや。あの人きっと王様やろ? 人間界消す力のある人やろ?」
「ああ……そうだな……」
「次郎ちゃんは大丈夫や。助かる、絶対、助かる。三郎も……」
四郎と五郎は、祈る気持ちで空を見上げた。そこにはもう龍の姿はなかった。
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