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押しつけられた三郎の体から熱が伝わってくる。逃げ続けることは出来ないと悟った赤二は覚悟を決めて三郎をベッドに連れて行った。そして着物を開けて柔らなかな肌に触れるとたちまち菊の花が咲き乱れた。
(これは相当貪欲な体だな)
赤二は三郎を裸にして菊の花を観賞した。壁に描かれた絵よりもずっと色鮮やかで艶めかしい。
「綺麗だ」
一際美しく咲いた菊に口づけると、菊はほぼ全身に咲いたが一カ所だけ空白が出来た。片方の上腕の外側だ。よく見るとそこは人工的な皮膚で覆われていた。
(こんな場所に傷はなかったと思うが……)
深くえぐられた腹さえ滑らかで美しい肌が再生しているというのに、ここだけ人工的に補う必要があったのだろうかと思いながら触れてみると、そこは一際熱くなっていた。益々気になって撫で続けていると、三郎が声をあげた。
「あっつ」
「あ……すまない、痛かったか?」
赤二は慌てて手を離したが、三郎は首を振ってその手を引き戻した。
「違う。感じるんだ、凄く……」
「ここが? こっちやこっちよりも?」
「わかんない……全部感じる……赤二が触れてくれる所、全部……あっ」
身をくねらせて喘ぐ三郎を見ていると、赤二の体も熱くなってきた。
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