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耳元で囁かれて、三郎はようやく彼の方に目を向けた。大柄で髪も瞳も黒い貴人が優雅に微笑んでいる。
「俺は黒百合。このクラスの級長だ。何かわからないことがあったら遠慮無く聞いてくれ」
「はい、よろしくお願いします。じゃあ早速聞きますけど……」
「敬語使わなくていいよ。どうぞ」
雛罌粟たちに聞いたら笑われそうな気がして黙っていたがこの人なら大丈夫かもしれないと思った三郎は、勇気を出して質問した。
「あの……お茶会って何?」
黒百合は、一瞬驚いた後、納得したように頷いた。
「そうか。それで困って逃げてきたんだね。お茶会っていうのはね……」
黒百合は素直にじっと答えを待つ三郎の目を見ながら顔を近づけてきたが、何かに気づいて止まった。
「あれ? 君って赤二様と暮らしてるの?」
「えっ赤二のこと知ってるの? 黒百合は……赤い国の貴人じゃないよね?」
「ああ。俺は黒い国の黒二様と暮らしてる。赤二様は時々ウチに来るんだ。へえ、そうか君が……」
黒百合にじっと見つめられた三郎は、恥ずかしくなって目を逸らしながらもう一度尋ねた。
「で、お茶会って……」
「ああ、そうだったね。今度君も赤二様と一緒にウチにおいでよ。お茶会については、その時に教えてあげる。次の授業が始まるから席に戻ろう」
「え、あの……」
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