第26章 貴人の学校

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「そうか、ご苦労。赤二がおまえに聞きたいことがあるらしい。赤と黒の龍はもう少し遊ばせてから独りで国に帰らせる」 「えっ」 龍と共に赤い国に帰るつもりだった赤二は戸惑ったが、黒二に手を差し伸べられると拒むことは出来なかった。連れて行かれたのはいつも会う部屋ではなく、初めてこの国に来たときに案内された研究室だった。 そして黒二は、赤二にその日と同じ命令をした。 「服を脱げ」 もう少し丁寧な言い方だったが、初めて2人きりになった時もいきなり脱げと言われた。 その命令は、当時の記憶を呼び起こした。 男の名前は出生時に測定された潜在能力で決まる。国の長になる力を秘めたものには一、以下一定のレベルごとに二、三と色の下につく数字が変わる。しかしそれはあくまで潜在能力なので、名前についている数字が同じでも、多くの龍を保有する大人と未婚の若者では実際の能力は大きく異なる。当時まだ学生だった赤二は、先代の黒龍の時代から黒い国のナンバー2だった黒二に全く敵わなかった。 黒二は龍人の色についての研究で有名な学者でもあり、それを知っていた赤龍は、知的で物腰が柔らかい黒二を信頼して赤二を託したのだが、黒二は赤二を元の赤い体に戻して欲しいという赤龍の要望に答える気はなかった。 「黒い肉を食べながら乱交したと聞いたが、一晩だけの話か?」 「……はい」 「それだけで、ここまで色が変わったと?」 吸い込まれそうに真っ黒な瞳で見つめられると裸の赤二は目を逸らしたが、黒二は頬を押し戻して再び尋ねた。 「以前から黒い生徒と関係があったのではないか? 正直に言え。本当は毎晩のように男に抱かれていたのだろう?」
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