第27章 剣術

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雛罌粟は納得していないような顔つきだったが、三郎は気にせず彼の手を取った。 「さあ、早く学校へ行こう」 学校に着くと他の生徒達も気遣ってくれたし、教師ももちろん声を掛けてくれた。 「菊さん、体調は問題ありませんか?」 「はい。昨日はありがとうございました」 「もしまた痛みが出たら遠慮無く言いなさい。では道場に移動します」 道場は教室とは別の建物にあり、入る時に着替えを渡された。 「初級者用の防具です。服を全て脱いで着替えなさい」 防具と言っても足先から首まで繋がった服と透明なマスクだけだ。裸の上にそれだけを身につけろと言われた生徒達はざわめいた。 「薄くて軽いですが、初級者用の剣で壊れることはありません。さあ早く」 促された生徒達が一斉に服を脱ぎ始めた。白から褐色まで色は様々だが、皆艶やかな美しい肌だ。三郎が目のやり場に困って俯いて着替えていると、隣の子が腕に触れてきた。 「菊くんの腕、凄い筋肉だね。男の人みたい」 顔を上げるとうっとりとした青い瞳と目が合って、ドキリとした。 「もう剣術やってるの?」 「いや。初めて……だと思う」 言われてみれば、確かに他の貴人の腕はもっと細い。しかしそれが生まれつきの体格なのか、鍛え上げた結果なのかは思い出せない。 そして全員着替え終わると剣が配られた。腕と同じくらいの長さで、片手でも扱えそうな軽い剣だ。
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