第27章 剣術

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「では剣をまっすぐ持って。左足を前に出して……そう、菊さんの様に」 自然に剣を構えることが出来て三郎自身驚いた。その後剣の扱い方を習い、映像相手に剣を交えたが、三郎はあっという間に課題をクリアしてしまった。 「凄いね菊くん、天才だね」 「いや……」 剣を使ってみて確信した。自分は過去に剣を使ったことがある。具体的なことは何一つ思い出せないが、それは間違いない。 「では最後に試合をしてみましょう」 教師は習熟度と体格を考慮して生徒を二人組にし、三郎は黒百合と試合をすることになった。三郎には実戦経験で身につけた確かな技術があるが、体格では黒百合が勝っている。それに初級の防具はいくら剣が当たっても変化しないことを教師が実演してくれたが、顔の見える相手に剣を向けるのは気が引ける。 「どうした? 遠慮しないで攻めて来いよ」 剣が人を殺しうるものだという認識のない黒百合は躊躇うことなく攻めてきたが、三郎は防ぐばかりで攻め込めない。 「さっきの練習は凄かったじゃないか。もう疲れたか? そうか昨日食事してないよね。赤二様、朝までウチにいたから」 「え?」 動揺した隙に一本取られた。首から下の上半身に3回当てたら勝ちというのが初級のルールだ。 「赤二様が来ると、俺も食事貰えないんだ。黒二様と2人きりで部屋に籠もって出てこないから」 「どういうこと?」
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