第27章 剣術

10/23
前へ
/962ページ
次へ
「あっ……赤二」 身を任せた三郎の肌に赤二が指を滑らせると、次々と菊の花が咲いていく。一際色濃く咲いた小菊に檜扇の花が重なって見えると、赤二は目を閉じた。そして目を開けた赤二は、感じて潤んだ三郎の大きな瞳を真っ直ぐ見つめて言った。 「死んだ妻のことは忘れる。だからおまえも、他の奴のことは思い出すな。俺だけを見ろ」 赤二の思い切った告白を、三郎は素直に受け入れ喜んだ。 「いいよ……いい……赤二だけで……ああ、赤二……!」 赤二が入って来た。 夢中で腰を動かすと、赤二の中からドクドクと熱い体液が吹き出し、三郎の体の奥へと流れ込み始めた。 それは人間の交わりよりずっと長く続く。龍人の男は、体力の続く限り肉を体液に変えて貴人に注ぎ続けることが出来るのだ。 食欲と性欲を同時に満たされていく三郎は、凄まじい快感に溺れた。 もっと欲しい 欲しくてたまらない もう赤二しか感じられない 赤二だけ感じていたい その強い思いは、浮かび上がり掛けていた本当に愛しているはずの男達の顔を、再び記憶の底に突き落とした。 「菊、大丈夫か?」 髪を撫でながらキスされて目覚めた三郎は、以前より体に力が満ちているように感じた。 「うん。なんか俺……強くなった気がする」 「ああ、そうだな。少し大きくなったよ」 「ほんと?」
/962ページ

最初のコメントを投稿しよう!

227人が本棚に入れています
本棚に追加